グロインペイン症候群とは
グロインペイン症候群 (鼠径部痛症候群)とは器質的な変化によって発生するのではなく、骨盤と下肢の連結部である鼠径部に何らかの負荷がかかり鼠径部に痛みが誘発されます。鼠径管の後壁が弱体化した状態で圧が掛かり、鼠径部やその周囲の組織を圧迫することによって痛みが発生します。
原因
オーバーユース
キック動作やランニング、急なステップを繰り返し行うサッカーやアメフト選手に多く見られ、キック時の股関節の屈曲・内転・捻りといった動作で腹壁や鼠径部に圧力が掛かることが原因と考えられます。この動作を繰り返し行うことで腹部や鼠径部周辺に痛みが発生します。
身体的な要因
股関節の可動性・体幹筋力の低下に伴う動作の不安定性や身体コントロールの低下など、原因は様々です。
- 可動性(体幹から股関節周囲の筋・関節の柔軟性低下や拘縮)
- 安定性(体幹〜骨盤周囲の筋力低下による不安定性)
- 協調性(体幹と下肢の動きが効果的に連動することが出来ない)
症状
股関節・鼠径部周辺~内転筋部の運動時痛や自発痛が主な症状で、腹筋の起き上がり・ダッシュ・キック動作で痛みを生じます。
悪化すると日常の起き上がり動作、くしゃみでも痛みを生じることがあります。
- 股関節周囲の圧痛
- 運動時痛(関節運動・キック・ダッシュなど)
- 下腹部までの放散痛
- 可動域制限
- 筋力低下
① 下腹部
② 鼠径部・大腿直筋
③ 恥骨結合
④ 睾丸周囲
⑤ 内転筋近位
治療法
痛みに対しては患部の施術を行い、
運動療法で体幹と股関節の可動性・安定性・協調性を強化する!
疼痛緩和と筋緊張の除去、炎症の抑制を目的に徒手療法や鍼灸治療・物理療法を行います。
股関節の可動域拡大を目的とし、腰背部・腹直筋・内転筋群に施行します。
- スポーツマッサージ
- 股関節モビライゼーション
- 骨盤マニュピレーション
- 鍼灸治療
- 干渉波・ハイボルテージ・EMS
- マイクロカレント(微弱電流波)
- 罨法(アイシング・ホットパック)
- 超音波治療
長期的な治療は運動療法です。股関節周囲の積極的な筋力強化と柔軟性を高める事を目的とし、並行して腰背部・腹直筋・内転筋群をバランスよく強化します 。
- 股関節の可動域訓練
- 股関節周囲筋・体幹部筋力強化
- 柔軟性向上
- 体幹・バランス能力向上
- キック動作などの身体コントロール訓練
アライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良がある場合にはフィジカル機能に対しての修正が必要になり、効率的な統合運動能力の獲得を目指します。