DISEASE疾患検索

ばね指(弾発指)

ばね指(弾発指)とは

指の付け根には、腱(筋肉と骨をつなぐ組織)が通る腱鞘(腱を包むトンネルのようなもの)があります。ばね指は、腱と腱鞘の間で炎症が起こり、腱の動きがスムーズでなくなる状態です。

指の付け根に痛み・腫れ・熱感が生じ、進行すると指が曲がったまま伸びなくなったり、伸ばしたまま曲がりにくくなる「ばね現象」と呼ばれる症状が現れます。

原因

使いすぎ・オーバーユース

指を酷使する作業や動作を繰り返すことで、腱と腱鞘に摩擦が生じ、炎症が引き起こされます。

パソコン操作や工場作業、料理人や美容師などの指を頻繁に使う職業や家事労働・スマホ操作などの日常生活でも痛みが誘発されます。

また、指に負担がかかりやすいスポーツや指の細かい作業が多い楽器の演奏でもなりやすいです。

加齢

加齢に伴い、腱や腱鞘を構成する組織(コラーゲンなど)が変性し、柔軟性が低下します。また、腱鞘自体も厚く硬くなる傾向があります。これにより、腱と腱鞘の間で炎症が起こりやすくなり、ばね指を発症するリスクが高まります。

特に、更年期(閉経の前後10年間)の女性は、ホルモンバランスの変化によって血行不良が起こりやすく、腱鞘が狭くなるため、ばね指を発症しやすいと言われています。

妊娠・出産

妊娠中や出産後も、ホルモンバランスの変化によって腱や腱鞘に影響が出ることがあります。

特に、リラキシンというホルモンの影響で関節や靭帯が緩みやすくなり、腱鞘にも影響を及ぼす可能性があります。

また、妊娠中はむくみやすくなることも、ばね指のリスクを高める要因となります。

基礎疾患・現病歴

以下の疾患をお持ちの方は、ばね指を発症しやすい傾向があります。

・糖尿病:糖尿病は、末梢神経障害や血行不良を引き起こすことがあり、腱や腱鞘への栄養供給が滞り、炎症を起こしやすくなります。

・リウマチ:関節リウマチなどの膠原病は、全身の関節に炎症を引き起こす病気であり、指の腱鞘にも炎症が波及することがあります。

・透析:透析を受けている方は、アミロイドという物質が腱鞘に沈着しやすく、腱鞘が肥厚することでばね指を発症することがあります。

その他の要因

稀に、腱鞘内に腫瘍ができたり、指のケガによって腱や腱鞘が損傷したりすることが原因で、ばね指が起こる場合もあります。

症状

  • 指の付け根の痛み
  • 腫れ、熱感
  • 曲げ伸ばし時の引っかかり、抵抗感
  • 指が曲がったまま、伸びたまま(ばね現象)
  • 朝方は痛みが強い
  • 日中は指を使っていると痛みが軽減

進行度

ばね指には進行度があり、治療方針を決定する上で重要な情報となります。

初期:指の付け根の痛みや違和感のみ

中期:指の曲げ伸ばし時にひっかかりを感じる。自動的に元の状態に戻る

後期:指が曲がったまま、または伸びたままになり、自分の力では戻せない。無理に戻そうとすると、ばねのように跳ねて戻る

治療法

ばね指は腱と腱鞘の炎症による痛みの発生なので、固定・安静・アイシングを行います。特に初期症状の固定・安静は重要で、症状の経過に影響します

また、サポーターやテーピングを使用することで手指の負担を軽減し、手作業や日常生活における予防や改善・痛みの抑制促していきます。

並行して患部に対する疼痛緩和・血液循環の促進と筋緊張の除去・可動域改善を目的とし、徒手療法や物理療法・鍼灸治療を施行していきます。

  • 手指〜上肢スポーツマッサージ
  • 関節マニュピレーション
  • 関節モビライゼーション
  • ストレッチ
  • 罨法(冷・温熱刺激)
  • 鍼灸治療
  • 超音波治療
  • 干渉波・EMS
  • ハイボルテージ
  • マイクロカレント(微弱電流波)
  • スーパーライザー
  • 包帯・テーピング
  • サポーター
超音波・微弱電流波
患部の点灸
前腕のスポーツマッサージ

急激な痛み・症状の軽減など経過次第で、日常生活動作に合わせた無理のない範囲の運動療法(リハビリ)を行っていきます

生活習慣や年齢・現病歴などを考慮してゴールを設定し、それに必要な運動療法を進行していきます。

保存療法で改善が見られない場合は手術療法を選択する可能性もあります。

原因である狭窄した腱鞘を切開し、腱がスムーズに動くようにすることで、症状を改善させます。

TOP