円回内筋症候群とは
円回内筋症候群とは、前腕の回内（手のひらを下に向ける動作）や肘の屈曲に関わる円回内筋という筋肉の過度な緊張や圧迫により正中神経が絞扼され、痛みやしびれなどの神経症状を引き起こす疾患です。
原因
過度な負荷・オーバーユース
- テニス・野球・ゴルフなど、前腕を酷使するスポーツ
- パソコン作業・キーボード入力・マウス操作など、長時間のデスクワーク
- 重量物の持ち上げ、反復動作を伴う作業
円回内筋の圧迫
円回内筋が何らかの影響により異常が起きたり、けがや打撲後の軟部組織の硬結により、神経が圧迫されて症状が誘発されます。
その他
糖尿病・甲状腺機能低下症などの代謝性疾患や妊娠などが原因で症状が誘発されることがあります。
分類
円回内筋筋頭間型
円回内筋には2つの筋腹があり、その筋腹の間で正中神経が圧迫されるタイプ
浅指屈筋腱弓型
円回内筋の横深層にある浅指屈筋（指を曲げる筋肉）の付着部で正中神経が圧迫されるタイプ
その他
上腕二頭筋腱膜や骨間膜など、他の部位で正中神経が圧迫されるタイプ
症状
基本的には痛みよりもしびれやだるさを伴う症状が多いです。
- 肘〜指にかけてのしびれ
- 肘関節の痛み・だるさ
- 手の感覚鈍麻
- 前腕〜指の筋力低下
治療法
原因を追求しながら、
症状に対してアプローチしていきます！
円回内筋症候群を誘発させる動作や日常生活での原因を鑑みて、治療方針を進めていきます。
症状に対してはしびれや疼痛緩和・血液循環の促進と筋緊張の除去・可動域改善を目的とし、徒手療法や物理療法・鍼灸治療を施行していきます。
各スポーツ時のフォームや姿勢不良が原因である場合には、運動療法（コレクティブエクササイズ）を取り入れることで、オーバーユースや日常生活における予防や改善を目指していきます。
また、肘関節（円回内筋）への負荷を下げるように日常生活指導やセルフケア、運動中の痛みに対しても、テーピングやサポーターを処方して痛みを抑制させます。
- 上肢スポーツマッサージ
- 脊柱マニュピレーション
- 関節モビライゼーション
- ストレッチ
- 罨法（冷・温熱刺激）
- 鍼灸治療
- 超音波治療
- 干渉波・EMS
- ハイボルテージ
- マイクロカレント（微弱電流波）
- スーパーライザー
- 包帯固定・テーピング
- サポーター
インソール療法
急激な痛み・症状の軽減など経過次第で、日常生活動作に合わせた無理のない範囲の運動療法を行っていきます。
当院ではコレクティブエクササイズを取り入れ、頚部〜肩甲胸郭・体幹〜上肢の筋力強化と柔軟性・安定性・バランス力向上及び腰椎骨盤−股関節複合体（LPHC）の機能向上を目指していきます。
スポーツをしている方には、円回内筋症候群の原因をスクリーニングし、身体機能や柔軟性を分析して必要な最適動作の獲得を目標とします。
種目や競技日程・運動習慣や年齢などを考慮してゴールを設定し、それに必要な運動療法を行います。
- アスレティックリハビリテーション
- 腰椎骨盤−股関節複合体（LPHC）機能の向上
- LPHC柔軟性・安定性向上
- 頚部−上肢−体幹−下肢筋力・協調性強化
- 筋バランス向上
- 競技動作に対しての身体操作訓練
コレクティブエクササイズ
円回内筋症候群の原因となる各部位のアライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良が確認できる際にはフィジカル機能に対しての修正が必要になります。
インソール療法・コレクティブエクササイズは、効率的な統合運動能力の獲得を目指し、痛みの改善とパフォーマンス向上に効果があります。
↑こんな選手には効果的！
- バランスが悪く転倒しやすい
- 足の裏が扁平足
- 足の趾（ゆび）が曲がらない
- 膝が内側・外側に向いている
- 踵の他にも痛みがある
- ふくらはぎが張りやすい
