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肘部管症候群

肘部管症候群とは

肘部管症候群は、肘の内側にある「肘部管」というトンネルの中で、尺骨神経が何らかの影響で圧迫や牽引されて起こる神経障害です。

尺骨神経は、小指や薬指の感覚、手のひらの筋肉の動きに関わっています。

原因

1. 尺骨神経の圧迫

肘の使いすぎ:肘部管内の圧力が上昇し、神経を圧迫
  • 長時間肘を曲げている姿勢(デスクワーク、家事、電話、運転など)
  • スポーツ(野球、テニス、ゴルフなど)
  • 楽器演奏(ギター、ピアノなど)
肘の変形:変形により肘部管を狭め、神経を圧迫
  • 過去の骨折や脱臼による肘の変形
  • 変形性肘関節症による骨棘(骨のとげ)の形成
腫瘤:腫瘤が肘部管内に発生し、神経を圧迫
  • ガングリオン(滑液包の腫瘤)
  • 脂肪腫
肘部管の構造的要因
  • 肘部管を構成する靭帯や筋肉の肥厚
  • 尺骨神経が脱臼しやすい構造

2. 尺骨神経の牽引

外反肘変形
  • 先天的、または幼少期の骨折による変形
  • 肘が外側に曲がった状態となり、尺骨神経が引き伸ばされます
肘関節の不安定性
  • 肘関節の靭帯損傷などによる不安定性
  • 尺骨神経が過度に引き伸ばされ、損傷を受けやすくなります

3. 全身性疾患

糖尿病
  • 末梢神経障害(糖尿病性ニューロパチー)を引き起こし、尺骨神経も影響を受けることがあります
関節リウマチ
  • 肘関節の炎症により肘部管が狭窄し、神経が圧迫されることがあります
甲状腺機能低下症
  • むくみなどによって神経が圧迫されることがあります

これらの原因が単独または複合的に関与し、肘部管症候群を発症します

症状

小指・薬指のしびれや痛み

  • 特に、小指と薬指の小指側半分にしびれや痛みを感じることが多いです。
  • 初期段階では、夜間や明け方に症状が出やすい傾向があります。

感覚の異常

  • しびれだけでなく、感覚が鈍くなることもあります。
  • 温度感覚が鈍くなることもあります。

手の筋肉の萎縮

  • 進行すると、手のひらの筋肉が痩せて、力が入りにくくなります。
  • 細かい作業が困難になることがあります(例:箸を使う、ボタンを留めるなど)。

鷲手変形

  • 症状が進行すると、小指と薬指が曲がったまま伸びにくくなる変形(鷲手変形)が現れることがあります。

その他

  • 肘を長時間曲げていると、症状が悪化することがあります。
  • 肘の内側を押すと、小指や薬指に響くような痛みやしびれを感じることがあります。

症状の程度は個人差があり、初期段階では軽度のしびれだけかもしれませんが、進行すると日常生活に支障をきたすほどの症状が現れることがあります。

治療法

肘部管症候群は早期に発見し、適切な治療を行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。

原因や症状を精査して、患部の疼痛緩和・しびれ抑制・血液循環の促進と筋緊張の除去・可動域改善を目的とし、徒手療法や物理療法・鍼灸治療を施行していきます。

上肢体の姿勢不良が原因である場合には、運動療法(コレクティブエクササイズ)を取り入れることで日常生活における予防や改善を目指していきます。

また、肘関節への負荷を下げるように日常生活指導やセルフケア、運動中の痛みに対しても、テーピングやサポーターを処方して痛みを抑制させます。

  • 頚背部〜上肢スポーツマッサージ
  • 脊柱マニュピレーション
  • 関節モビライゼーション
  • ストレッチ
  • 罨法(冷・温熱刺激)
  • 鍼灸治療
  • 超音波治療
  • 干渉波・EMS
  • ハイボルテージ
  • マイクロカレント(微弱電流波)
  • スーパーライザー
  • 包帯固定・テーピング
  • サポーター
  • インソール療法
超音波・微弱電流波
前腕のスポーツマッサージ
肩甲骨モビライゼーション
手関節モビライゼーション
エルボーバンド

急激な痛み・症状の軽減など経過次第で、日常生活動作に合わせた無理のない範囲の運動療法を行っていきます。

当院ではコレクティブエクササイズを取り入れ、頚部〜肩甲胸郭・体幹〜上肢の筋力強化と柔軟性・安定性・バランス力向上及び腰椎骨盤−股関節複合体(LPHC)の機能向上を目指していきます。

スポーツをしている方には、肘部管症候群の原因をスクリーニングし、身体機能や柔軟性を分析して必要な最適動作の獲得を目標とします。

種目や競技日程・運動習慣や年齢などを考慮してゴールを設定し、それに必要な運動療法を行います。

  • アスレティックリハビリテーション
  • 腰椎骨盤−股関節複合体(LPHC)機能の向上
  • LPHC柔軟性・安定性向上
  • 頚部−上肢−体幹−下肢筋力・協調性強化
  • 筋バランス向上
  • 競技動作に対しての身体操作訓練
  • コレクティブエクササイズ
トレーニング
ストレッチ2

肘部管症候群の原因となる各部位のアライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良がある場合にはフィジカル機能に対しての修正が必要になります。

インソール療法・コレクティブエクササイズは、効率的な統合運動能力の獲得を目指し、痛みの改善とパフォーマンス向上に効果があります。

▶︎アライメント不良に対してのインソール療法について

▶︎パフォーマンス不良に対してのコレクティブエクササイズについて

↑こんな選手には効果的!

  • バランスが悪く転倒しやすい
  • 足の裏が扁平足
  • 足の趾(ゆび)が曲がらない
  • 膝が内側・外側に向いている
  • 踵の他にも痛みがある
  • ふくらはぎが張りやすい
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