外反母趾とは
外反母趾とは、足の親ゆび(母趾)が変形して小ゆび(小趾)側に曲がってしまっている(外反)状態です。外反母趾は母趾の外反だけではなく、母趾と連結する第1中足骨が逆方向に向いてしまい(内反)、横アーチが低下して、前足部が広がります(開張足)。
痛みの発生機序に足部の変形が関与していることから、変形に対する治療が必要になります。
中高年の女性に多いと言われていますが、成長期に発症する可能性もあります。
原因
- 遺伝・体質
- 足部機能不良
- 歩行・走行動作不全
- 不適切な履き物(シューズ)
- 骨・関節・筋肉などの非対称性
遺伝的・内的要因
遺伝的要因による外反母趾は若年者にも多くみられます。関節が変形しやすい体質や、骨・軟骨形成異常・扁平足や開張足、関節柔軟性が高い人や母趾の長い人など、様々な要因で外反母趾になる可能性があります。
足部アライメント不良である扁平足や開張足では足のアーチ構造が崩れ、立位での前足部(横アーチ)が扇状に広がります。この場合、靴を履いたときに広がった前足部が靴先に圧迫され、外反母趾を誘発します。
環境的・外的要因
遺伝的要因に加え、生活習慣や靴(シューズ)、姿勢や歩行バランスによる影響も外反母趾を誘発します。
肥満による過剰な体重負荷や加齢による筋力低下などによって足のアーチ構造が崩れ、ヒールや足先の細い靴を履くことで足先に過剰な外力が加わり、外反母趾が引き起こされます。
また、外傷(骨折・脱臼など)や病的(関節リウマチ・変形性関節症など)影響により、症状が誘発される可能性もあります。
スポーツによる要因
足部のアライメント不良(扁平足・開張足・回内足 etc)の影響で走行・ジャンプなどのパフォーマンスに不効率な運動連鎖が生じると症状を誘発します。
サッカーやラグビーのようなダッシュ・方向転換など足指の付け根に負担のかかるスポーツは過剰な外力がかかり、マラソンなどの長時間走る動作は足指が靴先の方に押し付けられる動作が多く、圧迫を受け続けます。
走行動作では前足部に重心が乗った際に横アーチが広がり、足趾は靴の中で前方へ滑り、指先が詰まるように圧迫されます。
パフォーマンス不良が長期間にわたり繰り返されると、運動時の横アーチ構造に過負荷が生じて、母趾は外反する可能性が高くなります。
また、母趾の付け根が圧迫されることによる靴ずれ(バニオン)の発症や、足底筋膜炎などを合併することもあります。
症状
- 母趾の付け根の痛み・腫れ・しびれ
- 母趾の著しい変形
- 歩行・運動時の痛み
- 他の足趾の変形
- 足趾の可動域制限
治療法
症状により治療法を選択、、
原因を追求し、改善させることが重要です!
外反母趾は、痛みの発生機序に足部の変形が関与していることから二次的な障害であり、変形に対する治療が必要になってきます。 変形が重症化した場合、関節炎などによる痛みやしびれ・歩行困難など、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
痛みに対しての治療では、足趾周りの筋緊張の緩和・ストレッチや患部に対しての物理療法などで炎症と疼痛を軽減させていきます。
同時にリハビリを行い足底・足趾のインナーマッスル強化、安定性・柔軟性向上などを目標に、変形予防に対する身体づくりを目指していきます。また、ウォーミングアップやクールダウンなど日常生活でできるセルフケアも重要になってきます。
シューズを着用するスポーツでは、正しいスポーツシューズの履き方・足に合ったシューズの選択やフィッティングが外反母趾を予防する要因になります。
足のアライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良など、フィジカル機能に対しての修正が必要な場合は、インソールやコレクティブエクササイズでの効率的な統合運動能力の獲得を目指します。
保存療法・リハビリテーション
- 下肢スポーツマッサージ
- 足関節モビライゼーション・マニュピレーション
- 冷罨法(アイシング処置)
- 超音波治療
- アスレティックリハビリテーション
- 鍼灸治療
- 干渉波・ハイボルテージ
- 微弱電流波(マイクロカレント)
- EMS
- テーピング
- サポーター
コレクティブエクササイズ
インソール療法