頚椎椎間板ヘルニアとは
頚部の椎間板組織(髄核)が脊柱管内に脱出(ヘルニア)し、圧迫されて脊髄症や神経根症を引き起こす疾患です。中年層の慢性的な障害とされることが多いですが、スポーツでの接触プレーや頚部への継続的な過負荷によって若年層でも見られます。
原因
スポーツによる損傷
ラグビーやアメフト・柔道などコンタクトスポーツで発症することが多いです。また、頚部に持続的な負荷が掛かり症状が出現することもあります。
日常生活での損傷
ストレートネック
など、日常的な姿勢不全による影響で、頚椎椎間板ヘルニアの症状が誘発される可能性があります。
加齢による退行性変化
年齢を重ねるにつれて椎間板に含まれる水分量が減少し、クッションとしての弾力性が低下します。そのため、椎間板が脊柱管内に脱出し、症状を誘発するリスクが高まります。
分類
神経根型
椎間板の髄核が後側方に脱出し神経根を圧迫するため、圧迫側の頚背部〜上肢にかけて症状が出現します。
- 圧迫側の肩腕部の痛み・しびれ・脱力感
- 運動障害・知覚異常・筋力低下など
脊髄型
椎間板の髄核が後方に脱出し脊髄を圧迫するため、上肢・下肢の症状が出現します。また、運動麻痺や膀胱・直腸障害も誘発することもあります。
- 圧迫部領域の運動・知覚障害
- 四肢麻痺・手指障害・歩行障害
- 膀胱直腸障害
症状
頚背部の痛みと上肢の神経症状(痛みや痺れ)・運動障害が主な症状となります。脊髄型の場合では、下肢へのしびれ・膀胱直腸障害が出現することもあります。脱出した圧迫部位によっては症状が混在することもあります
- 頚背部痛
- 頚背部〜上・下肢の痛み・しびれ
- 運動時痛
- 上・下肢筋力低下・脱力感
- 知覚感覚鈍麻・消失
- 膀胱直腸障害(排尿・排便異常)など
- 深部腱反射異常
- 理学検査(スペシャルテスト)の陽性所見
治療法
保存療法では、筋緊張の緩和と頚背部〜上肢の疼痛・しびれ緩和を目指し、
積極的に運動療法も取り入れていきます!
症状が軽度な頚椎椎間板ヘルニアは保存療法が基本的です。当院では、頚背部〜上肢に対しての疼痛緩和・血液循環の促進と筋緊張の除去・可動域改善を目的とし、徒手療法や物理療法・鍼灸治療を施行していきます。さらに運動療法(コレクティブエクササイズ)を取り入れることで日常生活における予防や改善を目指していきます。
また、頚部への負荷を下げるように日常生活指導やセルフケア、運動中の痛みに対しても、テーピングやサポーターを処方して痛みを抑制させます。
- 頚背部〜上肢スポーツマッサージ
- 脊柱マニュピレーション
- 関節モビライゼーション
- 罨法(冷・温熱刺激)
- 超音波治療
- 鍼灸治療
- ストレッチ
- 干渉波・ハイボルテージ・EMS
- マイクロカレント(微弱電流波)
- スーパーライザー
- 包帯・テーピング
- サポーター
インソール療法
急激な痛み・症状の軽減など経過次第で、日常生活動作に合わせた無理のない範囲の運動療法を行っていきます。
また、コレクティブエクササイズを取り入れ、頚部〜肩甲胸郭・体幹〜上肢の筋力強化と柔軟性・安定性・バランス力向上及び腰椎骨盤−股関節複合体(LPHC)の機能向上を目指していきます。
スポーツをしている方には、頚部痛の原因をスクリーニングし、身体機能や柔軟性を分析して必要な最適動作の獲得を目標とします。
種目や競技日程・運動習慣や年齢などを考慮してゴールを設定し、それに必要な運動療法を行います。
- アスレティックリハビリテーション
- 腰椎骨盤−股関節複合体(LPHC)機能の向上
- LPHC柔軟性・安定性向上
- 頚部−上肢−体幹−下肢筋力・協調性強化
- 筋バランス向上
- 競技動作に対しての身体操作訓練
コレクティブエクササイズ
※ 頚部から上・下肢への疼痛・しびれ、膀胱直腸障害などの症状が続く場合では手術療法が適応される可能性があります。
手術療法
- 椎間板の摘出・切除・移植・拡張術
- 椎間孔拡大術
- 椎弓切除・形成術
頚部痛の原因となる各部位のアライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良がある場合にはフィジカル機能に対しての修正が必要になります。
インソール療法・コレクティブエクササイズは、効率的な統合運動能力の獲得を目指し、痛みの改善とパフォーマンス向上に効果があります。
↑こんな選手には効果的!
- バランスが悪く転倒しやすい
- 足の裏が扁平足
- 足の趾(ゆび)が曲がらない
- 膝が内側・外側に向いている
- 踵の他にも痛みがある
- ふくらはぎが張りやすい