腰椎分離・すべり症とは
腰椎分離症とは椎弓の関節突起間部が骨組織の連続性が破綻(骨折)した状態で、すべり症とは下の椎体に対して前方にすべる状態を合併したものです。多くは第4腰椎のすべり症が多く、腰痛の原因や神経根の圧迫による下肢痛や、神経症状を起こします。スポーツ競技者や愛好者に診られる本症は多くの場合疲労骨折で、特に発育期のものと考えられます。
原因
スポーツによるオーバーユース
発育期(〜14歳前後)の過度なスポーツ活動による腰椎(椎間関節突起間部)の疲労骨折が主な原因で、先天的要因(椎弓の低形成)の影響も考えられます。
- 外傷の有無
- 小・中学生時代のスポーツ歴
- 腰痛の既往
- 発生原因の有無
- 腰痛・下肢痛
- 疼痛の内容
身体的な原因
先天的な反り腰(腰椎前弯)や身体の機能がうまく使えずにスポーツをしている際に腰部に過度な負荷がかかり、症状を誘発する可能性があります。
小児はここがPoint!
小中学生では2週間以上続く腰痛の45%が分離症であったという報告があり、早期発見・早期治療が重要です。初期症状の場合、X線から得られる情報は少なく、まずはMRI・CTによる検査が必要となります。大人の分離症は終末期(偽関節)となるが、小児の分離症では骨癒合が期待できるため、適切な治療とリハビリですべり症の回避や完治が期待できます。
症状
分離症特有の症状はありませんが、疲労骨折に伴う強い腰痛や殿部〜下肢にかけての骨棘による神経症状による痛み・痺れが主な症状です。
- 腰痛
- 運動時痛(特に腰を反った時の痛み)
- おしり〜下肢の痛み・しびれ
- 腰椎の階段状変形
治療法
安静固定と運動改善・強化が必要です!
疼痛緩和の治療を進めながら、積極的に運動療法を取り入れていきます!
子どもで疲労骨折が認められる場合は、コルセット等で固定し、運動制限を行うことで骨癒合を促します。
また、腰背部〜下肢に対しての疼痛緩和と筋緊張の除去・可動域改善を目的とし、徒手療法や物理療法・鍼灸治療を施行します。
腰部への負荷を下げるように日常生活指導やセルフケア、運動中の痛みに対しても、テーピングやサポーターを処方して痛みを抑制させます。
- 腰背部〜下肢スポーツマッサージ
- 骨盤マニュピレーション
- 関節モビライゼーション
- 冷罨法(アイシング処置)
- 超音波治療
- 鍼灸治療
- 干渉波・ハイボルテージ・EMS
- マイクロカレント(微弱電流波)
- スーパーライザー
- 包帯・テーピング
- サポーター
インソール療法
施術と並行して、運動療法・コレクティブエクササイズを行い、体幹〜下肢の筋力強化と柔軟性・安定性・バランス力向上及び腰椎−骨盤−股関節複合体(LPHC)の機能向上を目指していきます。
腰痛の原因をスクリーニングし、身体機能や柔軟性を分析して必要な最適動作の獲得を目的とします。スポーツ種目や競技日程・運動習慣や年齢などを考慮してゴールを設定し、それに必要な運動療法を行います。
- アスレティックリハビリテーション
- 腰椎−骨盤−股関節複合体機能の向上
- 上肢−体幹−下肢筋力強化
- LPHC柔軟性・安定性向上
- 筋バランス向上
- 競技動作に対しての身体操作訓練
コレクティブエクササイズ
※症状次第では手術療法が適用される可能性があります。
腰痛の原因となる各部位のアライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良がある場合にはフィジカル機能に対しての修正が必要になります。
インソール療法・コレクティブエクササイズは、効率的な統合運動能力の獲得を目指し、痛みの改善とパフォーマンス向上に効果があります。
↑こんな選手には効果的!
- バランスが悪く転倒しやすい
- 足の裏が扁平足
- 足の趾(ゆび)が曲がらない
- 膝が内側・外側に向いている
- 踵の他にも痛みがある
- ふくらはぎが張りやすい