ランナー膝(腸脛靭帯炎)とは
ランナー膝(腸脛靭帯炎)は陸上競技やマラソンなどのランニング距離の増加に伴い、膝の外則に痛みが発生する疾患です。また、ランニングを始めたばかりの人や、過度な長距離ランニングに伴う膝の障害で「鵞足炎」と並ぶ代表的な疾患です。
原因
ランナー膝はランニング時の痛みの中でも頻度の高い障害です。原因はオーバーユース・身体アライメントの問題やサーフェスなどの環境的要因にも影響されます。
オーバーユース
腸脛靱帯は腸骨〜脛骨に走行する靭帯で大腿外側から内方にカーブしながら付着します。このカーブしている靭帯と大腿骨がランニングによって繰り返し擦れることで炎症を起こし痛みを発生させます。
シーズンの始めや新入部員が集中的にハードなトレーニング始めた時など、練習量の増加や運動する環境が変わることで発症することもあります。
身体的要因
ランナー膝では膝内反や踵骨内反・足部回外になることがあり、代償性の過回内を引き起こします。これによって脛骨が内旋し腸軽靱帯にさらなる負荷がかかり障害を起こします。また、腸軽靱帯は大腿筋膜張筋と付着しているためこの緊張が強くなることも原因となります。
症状
走り始めは痛みがなく、ランニングの距離やペースの増加とともに出現する疼痛で、膝の屈伸時に膝の外側に痛みが出現します。
- 膝外則の痛み
- 膝の屈伸時の痛み
- 運動中・後の痛み
- 熱感・腫れ
治療法
まずは炎症を抑え、再発防ぐコンディショニングを!
急性期には運動制限を行い、局所安静を図ります。並行して、股関節〜膝周囲の筋緊張の緩和・ストレッチや患部に対しての物理療法などで炎症と疼痛を軽減させていきます。症状が軽度であれば、完全に休養しなくても練習量と内容を見直し、練習前後のストレッチやアイシングを徹底します。慢性化する場合もあるので、早期に治療することが非常に大切です。
疼痛緩和と筋緊張の除去、炎症の抑制を目的に徒手療法や鍼灸治療・物理療法を行います。
- 下肢スポーツマッサージ
- 関節モビライゼーション
- 骨盤マニュピレーション
- 鍼灸治療
- 超音波治療
- 干渉波・ハイボルテージ・EMS
- マイクロカレント(微弱電流波)
- 冷罨法(アイシング)
- アスレティックリハビリテーション
コレクティブエクササイズ
インソール療法
- テーピング
運動療法・リハビリでは殿部〜大腿部の筋力・筋バランス強化と股関節の可動域改善を行います。
アライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良がある場合にはフィジカル機能に対しての修正が必要になり、効率的な統合運動能力の獲得を目指します。