セーバー病とは
セーバー病は発育期の障害の中でも頻度の高い踵骨部(かかと)の骨端症です。10歳前後の成長期に診られ、骨の急激な成長に筋肉や腱の成長が追いつかないことによる不均衡によって発生します。ランニングやジャンプ動作を繰り返し行うことでアキレス腱や足底腱膜の緊張が強くなり付着部に牽引力が発生し炎症性の疼痛を発生させます。運動時の痛みが長期化することも多く、適切に治療する必要があります。
原因
10歳前後の成長期の子供(特に男児)に多く見られ、サッカーやトラック競技・体操など繰り返しのランニングとジャンプが求められるスポーツで発症しやすいです。摩耗した靴やフィット感の悪い靴、サーフェス(地面)も原因となります。
スポーツでのオーバーユース
過度な運動により、踵骨骨端核についているアキレス健と足底腱膜の柔軟性が低下することで踵骨部に強い牽引力がかかり炎症を起こします。
サッカーや陸上などの走る競技や体操・空手などの素足で行うスポーツに多く見られます。
アライメント不良とパフォーマンス
足部の過回内(内側に倒れる動き)や足底アーチの不形成(扁平足)などのアライメント不良の影響で衝撃の吸収がうまくできず、ふくらはぎや足底に負担がかかり痛みが誘発されます。
また、ランニング・ジャンプ動作などに身体機能が追い付いてない場合や、不良動作が見られる場合には踵に負担がかかりやすい動き(不良パフォーマンス)になってしまい、痛みを誘発します。
小児はここがPoint!
足部の骨端症は、ほかにも舟状骨に生じる「第1ケーラー病」、第2趾中足骨頭の骨端線に「フライバーグ病」、第5趾中足骨の基部に「イズリン病」と呼ばれるものがあります。子供の足は未発達で、過度な運動に対して障害を起こしやすいため早期発見、対処が必要になってきます。
- 成長期に激しいスポーツを行っている
- ダッシュやジャンプを繰り返しするスポーツをしている
- 練習が週に何回もあって身体を休めていない
- 練習後のクールダウンが不十分
- ストレッチが苦手で柔軟性にかける
症状
踵の痛み・腫れが特徴的で、運動中にも痛みはありますが、特に運動後に踵に症状が出ることが多いです。痛みのため、つま先歩きをすることがあります。
- 踵(アキレス腱付着部)の痛み
- 踵の両側を押すと痛む
- 運動中・後に痛む
- 患部の熱感・腫れ
- 歩行時痛
治療法
発症初期の安静・運動強度を調整しながら治療を行っていきます!
痛みが出始めて1〜2週間の運動制限することで予後が良好です。並行して、ふくらはぎ〜足底部の筋緊張の緩和・ストレッチや患部に対しての物理療法などで炎症と疼痛を軽減させていきます。
運動中では、踵(痛みのでている場所)への牽引力を緩和するためにテーピングを処方します。特に運動を続ける選手は痛みを抑えるために重要です。
- 下肢スポーツマッサージ
- 足部モビライゼーション
- 冷罨法(アイシング処置)
- 超音波治療
- アスレティックリハビリテーション
- 鍼灸治療
- 干渉波・ハイボルテージ・EMS
- マイクロカレント(微弱電流波)
- テーピング
コレクティブエクササイズ
インソール療法
足部アライメント不良・スポーツ時のパフォーマンス不良がある場合にはフィジカル機能に対しての修正が必要になります。インソール療法・コレクティブエクササイズは、効率的な統合運動能力の獲得を目指し、痛みの改善とパフォーマンス向上に効果があります。
↑こんな選手には効果的!
- バランスが悪く転倒しやすい
- 足の裏が扁平足
- 足の趾(ゆび)が曲がらない
- 膝が内側・外側に向いている
- 踵の他にも痛みがある
- ふくらはぎが張りやすい