舟状骨骨折とは
舟状骨は手首の関節を構成する8つの手根骨の中の一つで、手首の親指側にあり、船底のように曲がった形をしているため舟状骨と呼ばれています。
舟状骨骨折はスポーツや交通事故などで手首を反らして手をついたときに起こりやすく、手の付け根の骨折で最も多い骨折です。
原因
ほとんどの原因は外傷によるもので、転倒時に手をついて発生し、サッカーなどのスポーツでも多く見られます。
手根骨の骨折でもっとも発生頻度が高く、手関節の捻挫として見落とされやすいです。強い痛みではない為、放置して治療が遅れる場合もあります。
橈骨遠位端部骨折も同様な機序で起こりますが、骨質の低下した高齢者では舟状骨よりも橈骨が先に折れるため、橈骨の骨折になりやすいです。
骨折の分類
① 結節部骨折
② 遠位1/3部骨折
③ 中央1/3部骨折
④ 近位1/3部骨折
症状
手首周囲の腫れと痛みがあり、親指を立てた時に浮き出てくる腱の間の凹みや、手のひら親指の付け根への圧痛を生じます。また、物を持ったり、ドアを開けるときにも痛みが生じます。
- 手首の痛み
- 手首親指側、凹みの圧痛
- 腫脹(はれ)
- 熱感
- 手関節の運動時痛
- 握手での痛み
- 握力低下
- 腕立て伏せができない
舟状骨はもともと骨を栄養する血管が少なく、骨折によってその栄養供給が断たれてしまうと、骨癒合に数ヶ月を要する難治性の骨折です。
阻血性骨壊死や偽関節状態になってしまう可能性があります。
偽関節の状態になれば痛みは改善しますが、手関節運動時の疼痛は残りやすくなります。
偽関節とは?
偽関節は骨折部がしっかり治らずに骨癒合が終了してしまうことです。
骨折部が硬化して、名前の通り関節のようになってしまいます。
一般的には、6ヶ月以上経過して骨折の固有症状である異常可動性が明確な場合に偽関節と判断されます。
固定をしていなかったり、捻挫と誤診されてそのまま放置していたりすると、偽関節を発症してしまう確率は高まります。
検査
舟状骨の骨折を疑いレントゲンを撮る必要があります。受傷初期は骨折が確認できない場合もあるので、臨床所見で骨折が疑われる場合は2週間後に再検査が必要です。(2週間後には骨吸収により骨折線が明瞭になっています)
治療法
症状によって治療を選択して、早期回復を促します!
舟状骨は栄養血管が乏しく、長期間の固定を要するので早期の固定除去は注意が必要です。接骨院では古来からの柔道整復術を使って脱臼整復を行います。その後は固定・安静・冷却などの治療法と並行してリハビリテーションを施行していきます。
骨折部位や転位が大きい場合では手術が適応になることもあります。
当院では症状の経過次第で、疼痛緩和と筋緊張の除去・関節の可動域拡大を目的としてスポーツマッサージや鍼灸治療を施行します。
- 前腕スポーツマッサージ
- 関節モビライゼーション
- 鍼灸治療
- 罨法(アイシング・ホットパック)
物理療法で患部を刺激をすることで治癒力を促進し、早期回復を目指す治療を施行します。
超音波治療
微弱な超音波によって骨に微細振動を照射し骨癒合を促進します
マイクロカレント(微弱電流波)
生体内に流れる電流と同様の微弱電流を人工的に流すことで細胞組織の修復を行います
リハビリテーションでは、日常生活の復帰を目指すメディカルリハビリテーションだけでなく運動(競技)復帰を目指すアスレティックリハビリテーションも行います。
- 手関節の可動域訓練
- 前腕の筋力トレーニング
- 手指巧緻性トレーニング
- 日常生活動作の獲得
- 競技別トレーニング
コレクティブエクササイズ