ジュニアサッカーの練習後にかかとに痛みが出る
成長期のお子さんがかかとの部分を挟むように押さえると痛みが出る
子供が痛みを避けるためにかかとを地面につかないように歩く
このような症状を抱えている方は【セーバー病】かもしれません。
セーバー病は足部の異常が原因となることが多く、今回の足から診る痛み・障害は【セーバー病】についてお話ししていきます。
足から診るセーバー病
セーバー病は踵骨骨端症と呼ばれ、成長期の子供、特に男の子によく見られます。踵の成長軟骨の部分が繰り返しの運動や衝撃によって炎症を起こす病気です。
病態や原因や治療法についてはこちらを参考にしてください
足から診るセーバー病の原因
踵骨骨端核にかかる4つのストレス
オーバープロネーションとは、足関節が歩行時に過度に内側に倒れ込む状態を指します。この状態が持続すると、足底内側縦アーチと足底外側横アーチの低下を招き、足全体の機能に悪影響を及ぼします。
【アキレス腱(下腿三頭筋)の過度な緊張】
足が内側に倒れ込むことで、アキレス腱(下腿三頭筋)が引っ張られたり、歩行時の推進力を出すのに過剰使用することで緊張状態になり、付着部である踵骨骨端核に炎症が起こりやすくなります。
【足底腱膜の過度な牽引】
足が内側に倒れ込むことで、足底腱膜が引っ張られ、常に緊張状態になります。この状態が長く続くと、踵骨骨端核に炎症が起こりやすくなります。
【衝撃吸収機能の低下】
足部のアーチが低下することで、歩行時の衝撃吸収機能が低下し、踵骨骨端核に直接的な衝撃が加わります。
【体重(圧力)の集中化】
踵が内側に倒れることで、足部が地面に着いた時に体重が一局集中する。これにより、踵骨骨端核への圧力が集中化して炎症が発生します。
足から診るセーバー病のメカニズム
アキレス腱の過緊張のバイオメカニクス
下腿三頭筋(アキレス腱)は距骨下関節回内(脛骨・大腿骨の内旋)の減速に関与します。オーバープロネーションによって下腿三頭筋に過剰な遠心性収縮が起こります。また、オーバープロネーションによって足趾が伸展すると、歩行時のウィンドラス(蹴り出し)が出来ず、下腿三頭筋の底屈動作で代償を行います。これらが下腿三頭筋の過剰使用によって筋緊張を強くします。
【足底腱膜への過度なストレス】
オーバープロネーションによって内側縦アーチが低下するとともに距骨下関節の回内に伴って踵骨の前傾が強くなり足底腱膜に大きな牽引力がかかることで踵骨骨端核に炎症が発生します。
【内側縦アーチの低下】
オーバープロネーションによって内側縦アーチが低下し、踵接地時の衝撃吸収が出来ず、反復的にストレスがかかることで踵骨骨端核に炎症が発生します。
【踵骨外反によって体重(圧力)の集中化】
踵が内側に倒れることで体重(圧力)が内側に集中することで踵骨にストレスがかかり踵骨骨端核に炎症を起こす。
足から診るセーバー病の症例
まとめ
セーバー病は、小児のスポーツ障害では比較的多く見られる障害です。骨端核と呼ばれる成長に関わる部位の障害のため今後の成長や、運動能力に関わることもあります。早期に適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
当院ではインソール療法を積極的に行っています。ぜひご相談ください。