NEWSニュース

2024.07.17(Wed)

身長が伸びないは昔の話!ジュニア選手は筋トレしてもいいの?

 

患者さん
患者さん

「子供の筋トレは体に悪いの?」「成長に影響がある?」「身長が伸びない?」

タカスポ
タカスポ

長年、子どもが筋トレをすることはタブーとされてきました。
しかし、近年では子どもの筋力トレーニングに関する研究は増加し、現在ではその安全性と有効性はすでに十分証明されています。
今回は【ジュニア選手の筋力トレーニング】についてのお話をしていきます。

なぜ子供の筋トレは身体に良くないと考えられてきたのか?

管理された環境で定期的な筋力トレーニングを行う場合、子どもの身長が伸びないという証拠は示されていません。むしろ発達段階においても筋力トレーニングへの定期的な参加は、子どもの成長に好ましい影響を及ぼすことはほぼ間違いないと示されています。

有資格者の監督下で適切に計画された研究からは、骨端軟骨板の骨折は報告されていません。さらに臨床医の中には、低年齢の子どもの骨端軟骨は強く剪断力に対する抵抗力があるため、 思春期前の子どもにおける骨端軟骨損傷の危険性は、年長の子どもよりも低いと考えている方もいるようです。

テストステロン(男性ホルモン)は、筋力の向上に不可欠というわけではありません。テストステロンをほとんど分泌しない女性や高齢者であっても、筋力の向上は可能です。

最も重要なことは、厳重な管理・年齢に合わせた指導、安全なトレーニング環境の提供です。 もちろん子どもがウェイトルームで定められたガイドラインに従わずに悪ふざけをしたりすれば、どのような種類の活動であっても危険です。

トレーニングの方法や管理下の指示を理解し、その指示に従えるだけに成長していれば、筋力トレーニングはいつ始めても大丈夫です。

このようにジュニアアスリートにおける筋力トレーニングの重要性がますます認識されるようになり、適切な筋力トレーニングは、スポーツパフォーマンスの向上、怪我の予防、さらには将来の健康リスクの低減など、多くのメリットをもたらします。

ジュニア選手の筋力トレーニングについて

ジュニアアスリートにおける筋力トレーニングの有効性

パフォーマンス向上

筋力強化により、瞬発力、パワー、持久力などが向上し、パフォーマンスの向上や運動能力の向上に繋がります。

  • 筋力増強: 筋断面積の増加、筋繊維の質的変化
  • 瞬発力・パワー向上: 神経系の活性化、筋出力の向上
  • 持久力向上: 筋疲労の軽減、エネルギー代謝の効率化
  • 柔軟性向上: 筋・関節の可動域拡大、バランス能力の向上

ケガの予防

筋肉量が増えることで、関節や骨にかかる負担を軽減し、怪我のリスクを減らします。さらに一定の競技では使いにくい筋力を強化することでボディバランスが良くなり、リスクを軽減できます。

  • 関節・靭帯への負担軽減: 筋力による関節支持
  • 骨密度向上: 骨折リスクの低減
  • 姿勢改善: 体幹強化によるバランス向上

成長促進

 筋トレは骨密度を高め、成長ホルモンの分泌を促進します。さらに、運動能力に必要な神経発達にも効果があります。

精神面の強化

目にみえる効果があるため、目標達成や自己肯定感の向上に繋がります。

  • メンタルヘルス向上: 自信、集中力、忍耐力の向上

 ジュニアアスリートにおける筋力トレーニングの特徴

ジュニアアスリートは成長段階にあり、身体的・精神的に発達途中のため筋力トレーニングを行う際には、特に注意する必要があります。

【成長に合わせたトレーニング】

ジュニアアスリートは、骨や筋肉の成長段階にあり、大人とは異なる身体的特徴を持っています。成長を阻害しない適切な負荷で行うことが重要です。

骨の成長

成長期の骨は柔軟性が高く、強い負荷によって変形する可能性があります。そのため、過度な負荷は避け、骨への負担を最小限に抑え、骨密度向上と形態形成を促すトレーニングプログラムを構築する必要があります。

筋肉の成長

筋肉量が少ないため、負荷の高いトレーニングを行うと筋肉が損傷する可能性があります。段階的な負荷増減と適切な休息を織り交ぜ、筋肥大と筋力増強を安全かつ効果的に促進するトレーニングプログラムが必要です。

  • 骨や筋肉の成熟度を考慮した負荷設定
  • 多様な運動能力を育成するトレーニング内容
  • 身体的・精神的な成長を促すトレーニング環境

【安全性の確保】

運動経験が浅く、正しいフォームを身につけていない場合が多く見られます。ケガや障害を防ぐために、正しいフォーム指導と安全管理が重要です。

フォーム指導

専門家による指導と継続的なフォームチェックを通して、動作の安全性と効率性を高める必要があります。

安全管理

トレーニング環境を整備し、安全にトレーニングが行えるように、指導者による注意深い観察と適切なサポート体制を構築する必要があります。

  • 正しいフォーム指導と監督
  • 適切な負荷管理と休息
  • 傷害予防のためのコンディショニング

【栄養バランス】

筋力トレーニングを行う上で運動内容と同様に重要なのが栄養です。効果を高め、成長を促進するためには、バランスの良い食事を心がける必要があります。

タンパク質

筋肉の材料となるタンパク質は、体重1kgあたり1.2〜2.0gの摂取が推奨されます。肉類、魚介類、卵、大豆製品などを積極的に摂取する必要があります。

カルシウム

骨の成長に必要なカルシウムは、体重1kgあたり650mgの摂取が推奨されます。乳製品、小魚、緑黄色野菜などを積極的に摂取する必要があります。

その他栄養素

ビタミンやミネラルなどの栄養素も、バランス良く摂取する必要があります。

ジュニアアスリートの筋力トレーニングにおける留意点

子どもの筋力トレーニングは、1週間に2〜3回、1日以上の間を空けて行い、大筋群を動員するバラエティに富んだエクササイズを、6〜15レップ、1〜3セット行うことが推奨されています。

青少年のレジスタンストレーニングのガイドライン

  • 有資格者による指導と管理・監督を行う
  • 安全で危険の伴わない運動環境を確実に整える
  • 筋力トレーニングの効果と問題点を教育する
  • 各セッションは、5∼10分のウォームアップから開始する
  • 多様なエクササイズを、低強度、10∼15レップ、1セットから開始する
  • ニーズと目標に合わせて、6∼15レップで2∼3セットまで漸進させる
  • 筋力の向上に伴い、負荷を徐々に増加させる
  • 重量よりも、適切なエクササイズテクニックを重視する
  • トレーニングは、週2∼3回、1日以上の間を空けて実施する
  • トレーニングプログラムに体系的な変化をもたせ、常に新鮮で挑戦しがいのあるプログラムを作成する

ジュニアアスリートの筋力トレーニングの実際

自重トレーニング

腕立て伏せ、腹筋、スクワットなど、自分の体重を利用したトレーニングで、全身バランス良く鍛えることができます。

スタビリティトレーニング

静的なバランスを改善するためのトレーニングです。体幹トレーニングと呼ばれることが多いトレーニングで、さまざまな競技場面でのバランス能力を向上させることができます。

形だけをマネして行うのではなく、どのように、どこに注意をおくことによって安定性が増すのかを意識して行うことが効果を高めるために重要です。

軽重量のダンベルやバーベルを使ったトレーニング

自重トレーニングで物足りなくなってきた場合に有効なトレーニングで、筋肉量増加に効果的です。負荷を上げて行うため、フォーム指導と安全管理に注意が必要です。

プライオメトリックストレーニング

ジャンプやダッシュなど、瞬発力・パワーを鍛えるトレーニングで、スポーツ競技に必要な動きを強化します。身体への衝撃が大きいため、注意が必要です。

コーディネーショントレーニング

一般的に身のこなしがよい、運動神経が優れている、状況判断がよい、ボールさばきがうまいなどで表現され、バランスをとる能力やリズムに合わせて身体を動かす能力を強化します。コーディネーション能力は、一般的に子どもの時期に最も発達するといわれています。状況を察知、判断して、目的にあった動きをスムーズに作り出す能力を示し、スタビリティトレーニングやアジリティトレーニングも、この一部として位置づけられることもあります。

種類内容
定位能力たえまなく、動いている味方、相手、ボールならびにゴールあるいはネットとの関係で、自分の身体の位置を時間的・空間的に正確に決める(情報処理)
変換能力プレーが経過している最中に(例えば相手をかわしている時)、突然知覚した、あるいは予測した状況の変化に対して、動作を切り替える(予測、先取り)能力
連結能力タイミングを合わせ、ほどよい加減で緻密な行為をするために、身体の各部位を正確に、無駄なく同調させる(コンビネーション)能力
反応能力予期された信号、あるいは予測しなかった情報(例えばそれたボール)に対して素早く合目的に動く能力
識別能力ボール操作や、ここの技術・戦術的行為を空間的・時間的かつダイナミック
リズム能力リズムを作ったり、真似したり、さらには決定的なタイミングをつかむ能力
バランス能力空間や移動中における身体バランスを

まとめ

ジュニアアスリートにおける筋力トレーニングは、成長段階に合わせた適切な負荷、安全性確保、栄養バランス、専門家の指導などを考慮した上で実施することが重要です。効果的に実施することで、スポーツパフォーマンスの向上、怪我の予防、さらには将来の健康増進に貢献することができます。

TOP